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昭和30年代~50年代の地方私鉄を歩く 第16巻  北陸の電車たち(2) 石川県の私鉄

髙井薫平

発行
フォト・パブリッシング
判型
B5判・並製
ページ数
176ページ
発売日
2022年4月26日
ISBN
978-4-8021-3318-0 C0026
定価
2,970円(本体2,700円+税10%)

北陸3県(富山県、石川県、福井県)には県内の鉄道網を束ねるそれぞれの鉄道が存在しました。それらは最初、独立した鉄道として生まれ、戦時中の国策で電力会社との関係の強かった福井県以外はほぼ1県1社の組織に統合されました。面白いのは富山県と石川県ではそれぞれ県名を冠していますが、石川県だけは石川鉄道にならず「北陸鉄道」というこの地方の総称を会社名に採用しました。この結果、北陸といえばまず金沢、次に富山、福井の名前が自然に出てきます。しかしここでも「石川」という県名は忘れられた感じがします。
 北陸3県にも多くの私鉄が存在しましたし、今も元気な鉄道会社も少なくありませんが、本書ではこれを3回に分けてご紹介します。その第1回に北陸鉄道を取り上げることにしました。北陸鉄道は戦時中の鉄道統制令で石川県の多くの中小私鉄が金沢電気軌道のもとにほぼ統合され、戦時中北陸鉄道(第1次)となり、これが現在の北陸鉄道の母体となります。そして終戦後の昭和20年10月に浅野川電気鉄道が合併して、北陸鉄道が完成します。
しかし、北陸鉄道を構成する路線の多くはぜい弱な体質と、昭和30年代に始まったマイカーブームや道路整備により輸送手段は自動車に移っていき、多くの路線が廃止に追い込まれてしまいます。現在でも残るのは不採算区間をそぎ落とした石川線と浅野川線だけになりました。この2線の走る地域は金沢市の通勤圏に含まれ、通勤路線として活路を見出しています。 
そのほか北陸鉄道小松線と同じ国鉄北陸本線小松駅から出ていた尾小屋鉄道もご紹介いたします。