昭和20年、広島と長崎に人類初の原子爆弾が投下され、日本はポツダム宣言を受諾しました。敗戦の混乱と貧困の中でそれまで沈黙を守らざるを得なかった多くの日本の芸術家達は、その物質的困窮と戦いながらも次々と精力的に作品を発表し、出口の見えない暗闇の中で人々に希望の光を灯し続けてきました。
そして、1960年代の高度経済成長期を迎え、経済的な豊かさを享受すると共に様々な芸術分野において有能な作家が次々と輩出され、戦後史の中へ着実に日本美術の足跡が遺されたのです。現在、日本は世界有数の経済大国に成長し、海外からも高い評価を得ている国際派の芸術家から、東洋的な美意識、日本独自の伝統に基づいて制作を続ける芸術家など、多種多様な価値観を内包した芸術家層を育むに至っています。しかし地球的規模での環境問題、国内外政治の多様な混乱、外交問題など、政治、経済、そして我々の生活そのものにも一つの大きな転機が訪れようとしています。
戦後50周年の1995年と戦後60周年の2005年、戦後70周年の2015年、戦後75周年の2020年に株式会社麗人社は、戦後日本の美術を総覧する美術総集「戦後日本美術総集Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ」を発刊いたしました。そして、戦後80周年という節目の2025年に、日本の美術史を創り上げてきた芸術家、現在活躍している芸術家にスポットを当て、日本が世界に誇るべき芸術家たちの作品を後世に伝え遺す美術総集「戦後日本美術総集Ⅴ」を発刊します。
優れた美術作品には、その作者の平和を願う心情、その時の世相など、様々なメッセージが込められており、観る人の心に平和の大切さを想起させてくれます。本書が、戦後の日本にもたらされたかけがえのない「平和」を、美術作品が生み出される背景という観点から振り返り、改めて我々が置かれている「世界平和」の尊さを考えるきっかけとなれば幸いです。
【目次】
2 発刊によせて
3 目次
4 寄稿文:広島市長
5 寄稿文:長崎市長
6 寄稿文:アルフォンソ・ゴンサレス=カレーロ
7 寄稿文:アラン・バザール
8 寄稿文:パスクアーレ・ディ・マッテオ
9 グラフ記事
20 広島平和記念資料館
24 長崎原爆資料館
28 作品図版
318 日本美術年表
354 掲載作家一覧
355 協力一覧
356 奥付
定価4,950円(本体4,500円+税10%)
2025年9月2日発売
定価7,920円(本体7,200円+税10%)
2025年6月17日発売
定価550円(本体500円+税10%)
2025年6月12日発売
定価8,800円(本体8,000円+税10%)
2025年3月31日発売
定価4,280円(本体3,891円+税10%)
2025年3月19日発売
定価3,960円(本体3,600円+税10%)
2025年2月17日発売